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コラム
2022.01.12
西新宿スマートシティ最前線 No.2
~「新しい働き方」を叶える5Gを活用した屋外ワークスペース~
デジタル技術を活用し、まちで働く、過ごす人々の課題を解決し、暮らしをより魅力的にするまちづくり活動、「スマートシティ」。
西新宿では、エリアに関わる関係者が連携し「西新宿スマートシティ協議会」を組成しており、このエリアで過ごす方々のQOL(生活の質)の向上を図ることを目的に、7つのプロジェクトが進められています。
今回は、7つのプロジェクトの一つ、「新たなワークスタイルの確立」プロジェクトとして、「5G×屋外ワークスペース」の取組みを実施するKDDI総合研究所様、大成建設様に、取組みの見どころや未来のライフスタイルについて、お話を伺いました。
どのような経緯からプロジェクトを始めることになったのでしょうか?
KDDI総合研究所はKDDIグループのR&Dを担う組織で、通信・AI等先端技術の研究とライフスタイルリサーチを行なっています。特にライフスタイルリサーチでは、新しい生活様式を実践している「先進生活者」の方々とディスカッションしながら、新しいライフスタイルの実現に際して障壁となっている点を見つけ出し、テクノロジーによって解決していく、という取り組みを行なっています。
今回のプロジェクトもまさしくライフスタイルリサーチの取り組みが契機となっています。テレワークなどが急速に普及する状況で、いつでもどこでも働ける、これを実現させる場所を社会インフラとして整備したいと思ったんです。
いつでもどこでも働ける環境とは、どんな機能があるのでしょうか?
WEB会議が急速に普及しましたが、やはり対面でミーティングをする時に比べて、ディスカッションやワークショップがしづらいなど、物足りない場面もあります。いつでもどこでも働けるという場所だけでなく、高い生産性を実現するツールを提供したいと思っています。
今回の実証では5Gがキーワードになっていますが、5Gによって我々の生活はどう変わるのでしょうか?
5Gとは、第5世代の新しいモバイル通信システム(5th Generation)のことを指し、4Gに比べ高速大容量、低遅延、同時多接続が可能であるという特徴があります。そのため、場所を選ばずにリッチなコンテンツが送受信でき、離れていても同じ体験を共有することが可能になります。
これまでの4G通信でも、美しい動画を見たりシェアしたり、WEB会議をしたりできていますが、それらの体験がよりグレードアップしたものになると考えていただければと思います。
体験がグレードアップするということですね。それでは今回の実証では「働き方」はどのようにアップデートされるのでしょうか?
5Gの高速大容量・低遅延という特徴を活かして、遠くのオフィスの空間をまるごと再現できるワークスペースを設置します。高精細な360度映像データ(4K)と音場データを双方向にリアルタイムで伝えられ、離れていても、まるで一緒にいるかのような臨場感が実現できると考えています。
特徴の一つが音場の再現です。音場とは、誰がどの方向で話しているかの情報のことで、音場の再現には「音のVR」というKDDI総合研究所の技術を活用しています。音のVRは、聴こえる方向や距離による音量をも再現できる新しい技術で、もともと、コンサート空間でアーティストの歌声を近くで聴くかのような体験ができるといった、エンターテインメント分野で強みが発揮されていました。
この技術を遠隔での会議に活かすことで、誰が話しているか分かったり、複数の人が同時に話しても容易に聞き取れたりと、高い一体感と臨場感を実現します。
これにより、これまでのWEB会議では難しかったブレインストーミング会議やワークショップなどにも快適に行うことができます。
また今回は、圧迫感のない仮設テント型のワークスペースを設置しています。訪れた皆様には、実装された最先端の技術と、ワークスペースの可愛らしい見た目とのギャップも楽しんでいただきたいです。また、これまでにない臨場感を体験し、皆様が5Gの魅力を実感する機会になれば幸いです。
非常に楽しみな取組みですね。では、今回の取組みはどのように発展していくのでしょうか?
今回の取組みを行うにあたり、たくさんの人にこのワークスペースをどのように使いたいかヒアリングしました。すると、ショールーム・商談・授業・カラオケ・ライブ・ヨガ・料理教室など様々なアイデアをいただくことができ、空間を再現し遠隔地をつなぐ取組みに高い将来性を感じました。
一方で、短期間での実現性を踏まえると、多岐にわたるニーズの全てには応えられないもどかしさを感じています。今回は西新宿における取組みですが、まちによってニーズや使い道は異なってくると思います。今後は、様々なニーズに応えることができる、多様な使い方を提案していきたいです。究極的には、移動可能な空間にして、好きな時間に、ニーズにあわせて、スペースがやってくるという未来を思い描いています。
最後に、西新宿をどのようなまちにしていきたいですか?
「変容性」の高いまちにしたいと思っています。好きな場所で、好きな時間に、何でも出来る。人々のニーズに柔軟に答え、質の高いサービスを提供できる、つまり生活者のわがままに答えてくれる社会基盤を備えたまちです。例えば今この場で仕事がしたいと思ったら、オフィスが勝手にやって来てくれると考えたら、とても便利で快適だと思います。
働くことに限らず、人々が楽しく移動できたり、自然と健康になったり、新しい出会いを見つけることができたり・・・そんな幸福感を実現したいと思っています。
西新宿は、開放されたオープンスペースが多く、この目標を実現するのに適した街だと感じています。西新宿が、新しい働き方や新しいライフスタイルを発見でき、持続的に人々が成長、発展できるまちになるよう、これからも皆様と共に取り組んでいきたいと思います。