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コラム

2022.01.12

西新宿スマートシティ最前線 No.3
~まちづくり・エリアマネジメントをDXする~

デジタル技術を活用し、まちで働く、過ごす人々の課題を解決し、暮らしをより魅力的にするまちづくり活動、「スマートシティ」。
西新宿では、エリアに関わる関係者が連携し「西新宿スマートシティ協議会」を組成しており、このエリアで過ごす方々のQOL(生活の質)の向上を図ることを目的に、7つのプロジェクトが進められています。

今回は、「エリア共通基盤の整備」として西新宿TSUNAGUプロジェクトに取り組む新宿副都心エリア環境改善委員会様に、取組みについて、お話を伺いました。

まずは環境改善委員会とはどのような活動をする組織でしょうか?

西新宿地区で活動するエリアマネジメント組織です。エリアの企業が集まって、地域課題の解決や価値向上に向けた、まちづくり活動を行っています。
これまでに、目指すべきまちの将来像を議論しながら、オープンスペースを利活用する実証実験などを行ってきました。自分たちで、自分たちのまちを磨いていく活動をしている部隊だと思って頂ければ大丈夫です。

まちづくりの担い手的な組織ということですね。では、エリアマネジメント組織がスマートシティに取組む理由はなんでしょうか?

きっかけは、今ある都市の資産をもっと上手に使いこなしていこうという考えからでした。西新宿は超高層ビル街という印象が強いですが、ビルの足元に広大なオープンスペースがあるという特徴があります。この資産を上手く使うことができれば、大きな建替えなどをしなくても、十分に魅力あるまちづくりが出来るのではないかと考えました。その方法を探る中で、スマートシティやエリア共通基盤の整備が取組みテーマに上がりました。

エリア共通基盤「西新宿TSUNAGUプロジェクト」とは、具体的にどのようなモノを繋ごうとしているのでしょうか?取組みについて教えてください。

広大なオープンスペースとそこでサービスを提供する方々を繋ぐことを意識しています。先程、広大なオープンスペースが西新宿の最大の特徴とコメントしましたが、現状では、そのスペースが使われることがまだまだ少なく、特徴を十分に活かしきれていないという課題も抱えています。それを解決する手段として、エリアのオープンスペースなどの情報を集め、使いたい人にそれを上手く伝える連携基盤を作ろうということになったのです。実は、こういったマッチングの役割は、これまでエリアマネジメント事務局が全て手作業で行ってきていました。

オープンスペースの利活用ということが目的にあったのですね。では、具体的にどのような機能や情報が整備されていくのでしょうか?

現状を正しく知るためのデータライブラリの機能と、それを分かりやすく伝えるためのダッシュボード、さらにサービスを高度化するシミュレータ機能の検討をしています。 これまでは、オープンスペースがどこにあり、どのような条件、どのような手続きで利用できるかも整理できていませんでした。まずは、エリアマネジメント組織としてハード情報をしっかり整理すると共に、エリア関係者のご協力のもと、人流データなどもインプットしています。

ダッシュボードを見て驚きました。西新宿のまちが精緻に3Dで再現されているんですね。3D都市モデルを整備する効果はどのようなところにあるのでしょうか?

西新宿は、東西と南北の道路が立体交差するなど複層的な都市構造が空間的な特徴となっています。また、ビルの足元には、植栽の間を抜けるように縦横無尽に歩行者ネットワークが整備されています。このような複雑で立体的に入り組んだ空間を把握するのに、3Dで都市を表現することが効果的です。更には、デジタル空間で簡単にシミュレーションができるのも強みで、風や温度、騒音などの環境情報も可視化に取り組んでいます。

3D都市モデルなど新しい技術がまちづくりの現場に入ってきていますが、これからエリアマネジメントやまちづくりはどのように変わっていくとお考えですか?

デジタルでの検討を現実のフィールドに反映していくという方法が増えるのではないかと思います。西新宿では過去に何度も実証実験を行ってきていますが、リアル空間で大規模な実証実験を行うのは、時間もコストもかかります。今後は、3D都市モデルをベースにシミュレーションを何度も行って、効果的な施策を探り、実際の都市にはめ込んでいくことになると思います。
また、関係者間で合意形成を行う際には、互いに指差し確認できるツールとして、都市での活動や状況、将来形などが可視化できる3D都市モデルが非常に役立つと思います。

これまで、どうしてもまちづくりの現場では力業で対応してきた所が多いです。リアルな活動は今後も変わらず大切にしていきたいですが、上手くデジタル技術を組み込むことで、データをベースにしたエリアマネジメントをはじめていければと思います。

まちづくりの現場もデジタル化の新しい波が来ていることが良く分かりました。これからの西新宿のまちづくりが楽しみです。