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コラム

2022.01.12

西新宿スマートシティ最前線 No.1
~移動課題を解決するテクノロジー~

最近よく聞くようになった「スマートシティ」という言葉を知っていますか? デジタル技術を活用して、その街で働く、暮らす人々の課題を解決したり、魅力的にしたりしていくまちづくり活動のことです。
西新宿では、エリアに関わる関係者が連携し「西新宿スマートシティ協議会」を組成しており、このエリアに関わる方々のQOL(生活の質)の向上を図ることを目的に、7つのプロジェクトが進められています。

今回は、7つのプロジェクトの一つ、「移動環境の整備」プロジェクトに取り組む、損害保険ジャパン株式会社の岩瀬 賢人様、自動運転移動サービスの実証実験を計画する大成建設株式会社の杏村 潤貴様、自動走行ロボットによる配送サービスの実証実験を計画する株式会社ティアフォーの竹内 慎吾様に、次世代モビリティプロジェクトの具体的な取組みについてご紹介いただきました。

(損保ジャパン 岩瀬様)損保ジャパンは、西新宿のエリアマネジメント組織である新宿副都心エリア環境改善委員会・スマートシティタスクフォース会員の一社として、西新宿スマートシティ協議会に参加しています。その中で中長期的な「移動環境の整備」につながる取組みとして「次世代モビリティプロジェクト」を推進しています。
西新宿エリアは、地上に加え地下にも通路があり、また幅の広い道路が立体的に交差する構造です。そのため、どのような道順で目的地まで向かうのが最適か把握し難いといった移動課題を抱えています。また、新型コロナウイルス対策として3密を回避できる新たな移動手段が求められています。
これらの課題を解決し、西新宿で働く・遊ぶ・暮らす人々が、それぞれの目的に応じて、次世代モビリティを含む様々な移動手段により、安心・安全・快適に移動することができるスマートシティを目指しています。
次世代モビリティプロジェクトの具体的な取組みとして、今年度はパートナー会社とともに、2つの実証実験を計画しています。1つ目の実証実験は ”ヒトが移動” する自動運転サービスの実証実験です。
昨年度、環境改善委員会の企画として、西新宿エリアで自動運転タクシーによる実証実験を行いました。先端技術を活用したモビリティサービスには新たなリスクが生まれるため、損保ジャパンとしては「保険」による補償提供はもちろん、実証実験が安心・安全に行われるように「リスクアセスメント」(事前調査によりリスクを洗い出し、安全対策への支援を行うこと)を提供しています。
また、この自動運転タクシーの実証実験に参加する自動運転システムを開発する株式会社ティアフォー、高精度3次元地図の技術を持つアイサンテクノロジー株式会社と損保ジャパンの3社で、安心・安全な自動運転サービスの社会実装に向けたインシュアテックソリューション「Level Ⅳ Discovery」の共同開発を進めています。
昨年の実証実験を検証し、都心部でより一層の安心・安全な自動運転移動サービスを実現するためには、自動運転車がインフラと協調する仕組みを取り入れるなど「まちづくり」と一体となった取組みが必要と考え、今年度は新たに大成建設が加わるなどインフラ協調を意識した実証実験を行います。具体的な内容は実証プロジェクトリーダーである大成建設の杏村さんからお願いします。

(大成建設 杏村様)計画しているのは、「自動運転技術の高度化」と「社会実装につながる事業面の工夫」をテーマとした自動運転移動サービスの実証実験です。
大成建設やグループ会社である大成ロテック株式会社、日本信号株式会社が保有するインフラ側からの走行支援技術、株式会社プライムアシスタンスの遠隔見守り技術に加え、KDDI株式会社の5G通信を活用し「自動運転技術の高度化」と「社会実装につながる事業面の工夫」をテーマとして公道における自動運転移動サービスの実証実験を行います。
実証は、東京都の公募「令和3年度西新宿エリアにおける自動運転移動サービス実現に向けた5Gを活用したサービスモデルの構築に関するプロジェクト」に採択をいただき実施します。
今回、5Gを活用した信号連携や、センサーを活用した駅前ロータリーからの発車支援、特殊塗料による自車位置推定の有用性確認など、都内初のチャレンジも盛り込んでいます。
試乗者募集も行いましたので、実際に体験していただいた方からのフィードバックを踏まえて、次世代モビリティサービスの早期社会実装を目指して取り組んでいきたいですね。

(損保ジャパン 岩瀬様)2つ目の実証実験は ”モノが移動” する新たなスマートシティサービスの実証実験です。ティアフォーの竹内さんがプロジェクトリーダーとして計画を進めています。

(ティアフォー 竹内様)宅配需要が増加し、人手を介さない非接触型の配送ニーズが高まっている現状を受け、ティアフォーがこれまで多くの自動運転実証で培ってきた走行技術や運行管理技術、遠隔監視技術等をロボットへ転用し、自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスの実証実験を計画しています。
実証は、東京都の公募「西新宿エリアにおける5Gを含む先端技術を活用したスマートシティサービス実証事業」に採択をいただき実施します。
小田急電鉄株式会社と検討しているユースケースでは、ホテルから公園まで飲食物をお届けすることで、ホテルのサービスを屋外でも楽しめる新しい過ごし方を提案するなど、スマートシティ化が進む西新宿の“未来のライフスタイル“を体感いただく予定です。
実証実験は、技術・運用・事業面での課題を可視化し、早期実用化を促すことを目的としていますので、今後自動走行ロボットを利用し新たな配送サービスの事業化を目指したい事業者様がいらっしゃいましたら、是非一緒に検討したいですね。